小豆、寒天、砂糖で作り上げた
回進堂の原点
歴史に育まれ、味わいを高めた
煉り羊羹
煉り羊羹の歴史
漆黒をまとった美しいツヤと、切り口の鮮やかさ。回進堂の象徴ともいえる煉り羊羹は、焦がすほどの高熱を加えながら、ひたすら煉り込んで仕上げます。
昔ながらの製法を守る煉り羊羹の歴史をひもとけば、最初は、鋳物の鍋を直火で炊き上げてつくったのが始まり。黒砂糖を加えてもいないのに、真っ黒に仕上がったことから黒羊羹と名付けられました。
その後、製法の進化に伴って、鋳物の鍋は銅鍋に変化。上質な砂糖が手に入るようになると黒みが消え、「改良羊羹」と呼ばれるようになりました。これが今から100年前のこと。「本煉羊羹」という名前に変更。ほぼ同時期に、黒砂糖を入れた黒い羊羹ができたため、これを新たに「黒羊羹」と呼ぶようになったといいます。
様々な変遷を経て、進化してきた煉り羊羹。回進堂の祖ともいえる「本煉」「黒煉」は、こうした背景から生まれました。長い歴史に育まれた製法や味わいは、和菓子文化の根底を支えるものです。時代に流されず、変わらぬ味を守り続けることが、文化を受け継ぐ私たちの使命です。
熟練の技と心が羊羹づくりの命
小豆を一晩水に浸け、時間をかけて炊き上げてから、最も大事な製餡が始まります。小豆の中には、餡独特の食感と風味を引き出す「餡粒子」があり、深い味わいを高め、餡粒子を壊さず香り高く仕上げるのが、菓子職人の経験と技術です。火力、水量、渋の抜き加減…、季節や日々の天候を見ながら微妙に調整し、こげるような熱で煉り込むように煮上げるのです。すべての工程に心を込めて、丁寧に手づくりする。熟練の技と心がおいしい羊羹の命です。